リーダーは部下の力を出し切らせ、少しでも成長させること

はじめに:現代リーダーシップの本質

 企業や組織が急速に変化する現代において、リーダーの力量は単なる業績管理を超え、人材の持続的な成長を促す能力が求められています。
 「部下の力を毎日出し切らせ」、「毎日0.001mmでも伸ばすこと」は、人間の能力開発において重要なポイントです。「常に戦う力」を身に付けさす必要があり、両輪となる重要なリーダーシップ要素です。

1.部下の力を「出し切らせる」ための環境設計

実例1:製造業のラインリーダー・山田さんの取り組み

 山田さんは、単に作業指示をするだけでなく、一人一人に「今日、最も力を発揮できる条件は何ですか?」と質問するスタイルへ変更しました。

  • 実践内容: 個人の特性(集中力の高い時間帯など)に合わせた柔軟な作業配分を実施。
  • 成果: 3か月後には生産性が15%向上し、欠勤率も減少しました。

実践的ポイント

  • 個人の最適条件の把握
    • 一方的な業務配分ではなく、本人のパフォーマンス発揮条件を聞き取る。
  • 心理的安全の確保
    • ミスを恐れずに力を発揮できる環境づくり。
  • リソースの適切な提供
    • 必要なツール、情報、権限を適切に与える。

2.毎日0.001mmの成長を促すマイクロ・インプルーブメント

実例2:IT企業のプロジェクトリーダー・佐藤さんの工夫

 「毎日5分間の成長タイム」を導入。以下の「小さな気づき」を共有する文化を作りました。

  • 昨日学んだ小さな技術的気づき(ショートカットキー等)
  • 業務効率を上げるちょっとした工夫
  • 失敗から得た学び

 さらに「0.001mm成長シート」を作成し、「今日は顧客への説明を1回、前より明確に行う」といった、微細で実行可能な目標を記録しました。

3.出し切ることと伸ばすことの好循環を生み出す

実例3:小売業の店長・鈴木さんの統合的アプローチ

 鈴木さんは「全力を出し切る場」と「成長の機会」を同時に提供しました。

仕組み 具体的なアクション
本日の最大貢献 朝礼で「今日、あなたがチームに最大貢献できることは?」と問いかけ、強みを活かす。
毎日の小さなチャレンジ 「相槌のバリエーションを増やす」等、その日限りの小さな改善を本人が設定する。

4.具体的な実践フレームワーク(4ステップ)

  1. 観察と聞き取り(毎日5分)
    • 「今日、力を発揮するために何が必要?」と聞く。
  2. 環境調整
    • 個人のコンディションに合わせ、能力発揮を阻害する要因を除く。
  3. マイクロ成長目標の設定
    • 「今日0.001mm成長するために何をする?」と共同設定。
  4. 振り返りと承認(終業前5分)
    • 小さな成果でも確実に承認する。

5.期待される効果と注意点

  • 期待効果
    • 持続的なパフォーマンス向上、組織学習文化の定着、人材定着率向上。
  • 注意点
    • 画一的な適用を避け、個人の特性に合わせる。
    • 短期的成果のみを追求せず、長期的視点を持つ。
    • リーダーが一時的ではなく、習慣として継続的に関与する。

阻害要因を探り、取り除くための具体的な声掛け例

 リーダーは、部下を「詰める」のではなく、「障害を取り除き、環境を整えるサポーター」としてのスタンスで問いかけることが重要です。

1. 阻害要因を直接取り除く声かけ

観察によって「何かが邪魔をしている」と感じた場合や、本人に自覚を促すための直接的な質問です。

  • 「今日は、力を発揮するために何が必要?」
    • 最も基本となる問いかけです。「なぜできないのか」ではなく、「何があればできるのか」と未来志向で解決策を問います。
  • 「集中を邪魔するものはある?(それを取り除こうか?)」
    • 物理的な騒音や頻繁な割り込みなど、部下の集中力を削ぐ要因がないかを確認し、リーダーがそれを排除する意思を示します。

2. 状態を確認し、プレッサーチを下げる声かけ

 部下の表情が暗かったりリズムが崩れている場合、心理的な安全性を作るための声かけを行います。

  • 「今日は、力は発揮できそうですか?」
    • 体調やメンタルを含め、その日のコンディションを本人に自己評価させます。無理な場合は「守り」の業務に切り替える判断材料にします。
  • 「(数字や結果ではなく)今、最大限発揮できる力はどのくらい?」
    • 100%が無理でも、現在の出せる力を共有することで、その範囲で全力を出し切ることを目標に再設定できます。

3. 不安を取り除き、小さな一歩を促す声かけ

 大きな目標に圧倒されて手が止まっている(心理的な重圧が阻害要因である)場合の例です。

  • 「今日の『0.001mmの成長』のために、何をすればいいと思う?」
    • 壮大な成果ではなく、今日1日でできる極めて小さなアクションに焦点を絞らせます。
  • 「失敗しても『技術的負債の解消(学習)』だから大丈夫」
    • 失敗を悪いことではなく「将来のためのデータ収集」と定義し直すことで、行動へのハードルを下げます。

重要なポイント:NGワードとの対比

 従来の管理職がやりがちな声かけから、主語を「環境やリソース」に変えることが鍵となります。

従来の管理(NG) サポーターとしての関わり(OK)
「なぜ、できないんだ?」 「力を出し切るために、どんな環境(手助け)が必要か?」
原因の追及・人格否定につながりやすい 解決策の模索・環境整備に主眼を置く

おわりに

 0.001mmの成長はすぐには目に見えませんが、10人のチームで3年続ければ大きな差となります。
 リーダー自身の「部下を伸ばす力」もまた、この積み重ねによって0.001mmずつ成長していくのです。

主要目次

06leader/leader30.txt · 最終更新: by norimasa_kanno
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