4.間違えやすい言葉遣い
◆尊敬語と謙譲語の混同
尊敬語と謙譲語を混同して使っている社会人を多く見かけます。
間違った敬語を使っても意味は伝わりますが、やはり基本的なものはしっかり使いこなせるようにしましょう。
つい謙譲語を使ってしまう、間違えやすい表現を挙げておきます。
誤)部長、お昼はいただかれましたか 正)部長、お昼は召し上がりましたか |
誤)部長が申されたことですが 正)部長がおっしゃったことですが |
誤)あちらで伺ってください 正)あちらでお尋ね(お聞き)ください |
◆慣習として使われている表現
「部長はおられますか」は、尊敬表現でしょうか?
「おる」は謙譲語ですので、本来は「部長はいらっしゃいますか」が正しい表現ですが、「おられますか」も地域によってはよく使われており、また慣習として定着している表現です。
敬語は、性差や世代、地域でも異なるということに注意が必要です。
「とんでもございません」も、よく質問を受ける表現です。
実際には、「とんでもない」を敬語にすると「とんでもないことです」に変化しますが、前出の文化庁「敬語の指針」では「相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現であり、現在では、こうした状況で使うことは問題がないと考えられる」とされています。
間違った使い方と考える人も多いのですが、許容範囲として認知されている表現です。
ほかに例を挙げると、「花に水をあげる/花に水をやる」、あるいは「鳥にえさをあげる/鳥にえさをやる」のどちらが正しいでしょう。
どちらも後者「やる」が正解ですが、「あげる」は定着していますし、「えさをやる」という上からの言葉に抵抗感を抱く人も多いようです。
◆二重敬語の難しさ
二重敬語とは、一つの語に同じ種類の敬語を重ねて使う言葉のことで、誤った表現とされています。
そもそも敬語が過剰に使われていると、くどい印象を受けるのではないでしょうか。
「お~られる」「ご~られる」「ご~される」は二重敬語の代表格です。
一方で、許容範囲内の二重敬語も存在します。
文法上は間違いでも、多くの人が使っているためです。
また、「~させていただく」の多用も、同様にくどいと感じてしまいます。
この言い回しは、本来は依頼を受けての言葉遣いと心得ましょう。
◆若者言葉/マニュアル言葉
「よろしかったでしょうか」などは、コンビニエンスストアやファミリーレストランで使われることの多い表現です。
よく耳にするのでつられて使ってしまう人も多いのですが、気をつけたい言葉遣いの一つです。
≪二重敬語と許容の例≫
誤)部長がおっしゃられた 正)部長がおっしゃった |
誤)お客様がご覧になられました 正)お客様がご覧になりました |
誤)昼食をお召し上がりになられましたか(三重敬語) △)昼食をお召し上がりになりましたか(許容) 正)昼食を召し上がりましたか(正解) |
≪「~させていただく」の例≫
誤)お電話させていただきます 正)お電話いたします |
≪若者言葉/マニュアル言葉の例≫
誤)よろしかったでしょうか → 正)よろしいでしょうか 誤)~になります → 正)~でございます 誤)千円からお預かり… → 正)千円、お預かり… 誤)私的には → 正)私としては |
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