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3.敬称の使い方と他称・自称

◆敬称の使い方と社会慣習

 敬称とは、人名や職名の下につけて、その人への敬意を表す語のことです。男性、女性にかかわらず社内で使っている「さん」も敬称の一つです。
 顧客や取引先などの他者につける敬称としては、「様」がもっとも多く使われています。「殿」の敬称は公庁が出す文書で今も時々目にしますが、現代では「様」が主流です。また、「貴」「御」など、言葉の頭につけて尊敬語にする敬称もあります(敬称は、接頭語や接尾語の一種と言われています)。
 会話の中で敬称を使うときは、次の点に注意するようにしましょう。

  • (1)役職名には敬称が含まれている
    •  ○○社長様、○○部長殿は、文法上は○○社長、○○部長となります。
    •  しかしながら、社会慣習としては○○社長様のように「役職+様」は根強く残っているため、間違いとは言いがたいところがあります。
    •  訪問先では、「部長の○○様とお約束をしております」「課長の○○様はいらっしゃいますでしょうか」などと役職を先にして伝えるとよいでしょう。
  • (2)会話と文書では敬称が異なる
    •  会話で用いる敬称と文書で用いる敬称が存在します。
・御 → 話し言葉:「御社」「御校」など
・貴 → 書き言葉:「貴社」「貴校」など

 「ご高見」や「ご尊顔」など、すでに敬っている言葉をさらに美化する敬称も日常的に使われています。「役職+様」と同じように、文法と慣習が混在しているため、日本語の言葉遣いは難しく感じてしまいます。
 基本文法を理解し、正しく使うことも大事ですが、あまり細かくこだわるよりも「丁寧に伝えること」を心がけることが大切ではないでしょうか。

 迷ったらNHKのアナウンサーの言葉遣いをお手本にするとよいでしょう。

①社外に伝える場合 → 謙譲表現
 ・○○(名字)は出かけております
 ・社長の○○は外出しております
②社内やご家族に伝える場合 → 尊敬表現
 ・社長はお出かけになりました/出かけられました
 ・社長は外出していらっしゃいます/なさっています

ほかに、相手を立てるために使う他称と自分側を低めるために使う自称があります。謙遜も行き過ぎは禁物です。時と場合によって柔軟に使うようにしたいですね。

◆ウチとソトという関係を表現する

 「社長の○○様はいらっしゃいますか」という来客に対し、「○○社長はお出かけになられています」は、ウチ・ソトの関係を誤っている極端な例です。
 社外の人には、社内の人を身内と捉えて謙譲表現を使うことは多くの人が理解していますが、使い方も表現もいろいろですので、一度確認しておきましょう。

≪他称と自称≫

 相手側(他称・尊称)自分側(自称・卑称)
あなた、あなた様わたくし
会社貴社、御社当社、弊社、私ども
学校貴学、貴校、御校当校、本学
場所貴地、貴地方、御地当地、当所、当地方
自宅尊宅、ご自宅、お住まい拙宅、自宅、我が家
考えご意見、ご高見、ご意向私見、愚見
実父、夫の父お父様、お父上、ご尊父様父、義父
実母、夫の母お母様、お母上、ご母堂様母、姑、義母
妻の父ご岳父様父、義父
妻の母ご岳母様、ご丈母様母、義母
ご主人(様)夫、主人
奥様、ご令室(様)妻、家内
息子ご子息、ご令息せがれ、息子
ご令嬢、ご息女、お嬢様
03manner/03manner_1_3.1726388271.txt.gz · 最終更新: by norimasa_kanno
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