敬語には、年齢や立場などの「相手との差や距離(親疎の差)」を埋める役割があります。敬語を使うことで、どのような立場の人とでも話をすることができます。 現在では、謙譲語は二つに分けて論じられていますが、基本は丁寧語、尊敬語、謙譲語という三種類です。
①丁寧語:言葉を丁寧にすることで敬意を表す ②尊敬語:相手の行為を高めて敬意を表す ③謙譲語:自分の行為をへりくだり、相手に敬意を表す |
「です・ます」を使う丁寧語は誰にでも使える非常に便利でシンプルな敬語ですが、相手に敬意を示すためには、さらに質の高い尊敬語や謙譲語が求められます。 主語を気にせず使えていた丁寧語が、相手(他者)には尊敬語、自分(身内)には謙譲語という二つに枝分かれするため、少しハードルが高くなります。
≪主な基本の敬語表≫
原形 | 丁寧語 | 尊敬語 | 謙譲語 |
---|---|---|---|
する | します | なさる | いたす |
いる | います | いらっしゃる | おる |
行く | 行きます | いらっしゃる | 参る・伺う |
来る | 来ます | お越しになる | 参る |
食べる | 食べます | 召し上がる | いただく |
知っている | 知っています | ご存知 | 存じる |
≪使い方の例≫
「する」→誰が営業資料を作成するか確認したいとき |
丁寧語:部長/私が営業資料を作成しますか 尊敬語:部長が営業資料を作成なさいますか 謙譲語:私が営業資料を作成いたしますか |
美化語は、「ものごとを、美化して述べるもの」と定義されています(文化庁「敬語の指針」)。
丁寧語の一つとも考えられていて、「お」「ご」をつけることで言葉を丁寧にする効果があります。
「お酒」「ご飯」などは日常語として定着した言葉になっています。
また、和語には「お」、漢語には「ご」がつくと言われていますが、「お返事」と「ご返事」、「お病気」と「ご病気」などはどちらも使われており、かなり混在していて線引きが難しくなっています。
和語 → お知らせ、お勤め、お集まり 漢語 → ご通知、ご勤務、ご参集 |
「御御御汁(おみおつけ)」は、汁物を指す「おつけ」にどんどん美化語がついたという説があります。今はお味噌汁が一般的ですが、面白いですね。
「ご連絡いたします」「お送りいたします」など、自分の行為に美化語をつけてもよいのかという疑問も湧きますが、一般的に使われます。
前出の「敬語の指針」では「それが<向かう先>を立てる場合であれば、(中略)『お』や『御』を付けることには全く問題がない」と示されています。
また、以前は「伺います」が正解だったものが、「お伺いします」や「お伺いいたします」も正解となり、最近ではむしろこちらが多く使われるようになっています。
何でもかんでも美化語をつける風潮を疑問視する声もありますが、おビール(本来はビール)など、多くの人が使い、市民権を得た感のある言葉もあります。
美化語をつけない言葉
外来語 | ジュース、スポーツ、スーツなど |
---|---|
動植物 | 犬、うさぎ、桜、ひまわりなど |
オフィス用品 | 机、黒板、手帳、時計、資料など |
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